Cypress 15


・秋から冬へと続くお話。
・ロビンさんの怪しい行動と、完全に吹っ切れる立香ちゃん。



 藤丸家の懐事情 ~秋の風編~



「むむむ……」

 リビングのソファで膝を抱えた立香が、ローテーブルの上に置かれた物を睨みつけていた。
 睨んでいるからといって憎悪の対象というわけではない。むしろ日常をともに過ごしているから、立香にとっては大切な相棒で、かえがたい戦友でもある。だがしかし、なんど確認しても、つじつまがあわないのだ。これは由々しき自体。早急に原因を突き止めなければならない。
 立香は『それら』を掴み取り、顔を近づけたり遠ざけたりして、何度も数字の整合性をとろうと躍起になっていた。

「風呂あがりましたぜー。……なんすか、その険しい顔。腹でも痛てえんですか」

 白い長袖シャツに、緑のスウェットというラフな格好をしたロビンが、濡れた髪をタオルでがっしがっし拭きながら、ソファの背もたれ越しに、立香の手元を覗きこんだ。

「お腹は痛くない。わたしの体調は特に問題ないよ。問題があるのは、こっち」

 立香の片手には財布、もう片方には預金通帳。見つめられた両者は追詰められた犯人のごとく冷や汗を流していた。

「コイツらのどこに問題が? どっからどう見ても、いつも使ってるオタクの財布と通帳っしょ」
「問題は外見じゃないの。中身(きんがく)の方なの!」

 だってこれ見てよ! と、立香は持っていた通帳を開いてロビンにつきつけた。

「わたし、実は簡易だけど家計簿つけてるんだ。今月の金額を確認してたんだけど、何回やっても何回やっても合計金額が合わないの! 〇アーマン!? エ〇ーマンなの、この数字たちは!」

 通帳を持ったまま、頭を抱えて唸る立香。そんな彼女を、ロビンが困った表情で見つめる。

「あわないって、減ってるわけじゃないんでしょ?」
「そう! だから問題なんだよ! お母さんたちが振り込んでくれる額に変更はないし、買い物した時のレシートもちゃんと取ってある。自動販売機とかで衝動的に使ったお金も、そのつど控えるようにしている。わたしの計算に狂いはないはずなのに、『どうあがいても四万近く増えてる』んだよー!」

 うわーんと立香は嘆いた。

「増えてんなら問題ないだろ。気にせず使っちまえばいいんですよ」
「いやいやいやいや、怖すぎるでしょ!? 出どころ不明なお金だよ!? さすがに手つけられないってば!」

 しかも聞いてよ、と立香は財布のお札入れ部分を開いて見せた。

「通帳の数字におかしな動きがないから、増えたお金はおそらく『直接お財布に入れられている』んだよ! もうこれはホラーでしょう!?」

 いつも立香が持ち歩く金額より、お札の枚数が多いと、立香は必死に訴える。
 ロビンは、やれやれと肩をすくめた。

「オタクも律儀っつーか、そういうところは意外としっかりしてんのな。自活能力があってお兄さん感心しましたぜ」
「ロビン? どうしてわたしが君に話しているか、分かってるよね?」

 じとりと睨みつける立香。消去法で考えたら当然の帰結だ。立香のあずかり知らぬところで思わぬ収入があり、財源が大幅アップを遂げていた。ならば犯人は一人しかいないのである。同居人にして、立香の財布を自由に触れることができるロビンだ。

「まさかオレを疑ってます? なら訊ねるが、証拠はあるんですかい?」
「もうそれ犯人の常套句だから」
「証拠もないのに犯人扱いとは心外ですな」
「物的証拠はないけどさ。じゃあ財布を叩いたらお金が勝手に増えたって言いたいの? ビスケットじゃあるまいし」
「なんで駄菓子が出てくるんです?」
「知らない? 『ポケットを叩くとビスケットが一つ。もう一度叩くとビスケットが二つ』って歌」
「知らねーですし、そりゃただ単にビスケットが割れてるだけじゃね?」
「……その発想はなかった。確かに枚数は増えているけど、総量については言及されていないよね。じゃあ叩いてみるたび増えるのは、ボロボロの粉になっているから!? ……って、話をそらすなー!」

 正直に言えー、観念しろーと、両手を振り回しながら騒ぐ立香。ロビンはその手首を捕まえてソファに押しとどめた。

「んな些細なこと気にしてたら寿命と身長が縮んじまいますぜ」
「どっちも縮まないよ! わ、ちょ……やだ」

 するすると登ってきたロビンの手が、立香から財布と通帳を奪い取る。全財産が記載された、ロビンにとっては邪魔者でしかない物をテーブルの上に放り投げて、空になった立香の手のひらを指の爪でゆっくり引っ掻いた。
 もたらされた刺激が、甘く密やかな時間の始まりを告げる。
 慌てた立香は、のしかかってきたロビンから逃れようと必死に身をよじった。


「す、ストップストップ! わたし、わたし……明日学校があるんですけど!?」
「知ったこっちゃねえです。こっちも減るもんじゃないんで、気にしない気にしない」

 減る! 神経とか気力とか体力とか、その他もろもろがすり減っていくー!
 立香の必死の抵抗むなしく、藤丸邸リビングルームに置かれた二人掛けソファの上で、他人には言えない夜の秘め事が幕を開けた───。

 ◇

(また流されてしまった……っ!)

 昨日の出来事を反芻していた立香は、教室の机にガコンと額を打ちつけた。近くにいたクラスメイトの視線をひしひしと感じたが、まわりからどう思われようが知ったことではない。そんなことよりもロビンのことだ。
 夏祭りの夜、初めて彼と繋がった。ロビンが現世から退去してしまう可能性があったし、立香もそれだけは絶対に阻止したくて躰を許した。しかし、そのたった一度を皮切りに、もう幾度となく襲われている。正確に数えてないけれど、たぶん、けっこう……頻繁に。
 魔力経路が正常になったおかげで、ロビンはすこぶる調子がよさそうだ。自由に小さくなったり大きくなったりできるようになり、さらに立香と離れていても大きさを維持できるまでに回復していた。(もともとロビンはマスターから離れて行動できる単独行動というスキルがあるそうだ)宝具の使用制限もなくなったため、今まで以上に楽に戦闘ができると安堵していたのを覚えている。
 いやまぁ彼が元気なら、わたしだってとても嬉しい。
 でも……。
 呪いを上回る勢いで魔力の補給や維持ができるようになったのならば、もう立香と関係を結ばなくてもいいはずだ。キスだってしなくてもいいはずだし、立香の近くにいなくてもサーヴァントとしての能力をじゅうぶん発揮できるだろう。
 でもことあるごとに、というか隙あらばロビンはくっついてこようとする。なんならそれ以上に発展する。もうほぼ百パーセントの確率で。
 ───ロビンがわたしのことをどう思っているか、まだちゃんと聞いていないんだよなぁ。
 机に突っ伏したまま、立香は、「あー……」と、覇気のない低い声を出した。
 ───好き、なのかな? それとも遊び?
 女好きって公言していたり、通りすがりの綺麗な女性を目で追っていたり、ロビンへの不安要素は枚挙にいとまがない。立香は顔も頭も『ごくごく平均的』だ。お世辞にも、彼の守備範囲内とは言い難い。だいたい、こんなに不安になっているのは、ロビンの帰宅時間が、最近かなり遅くなっているからである。学校帰り、夕方六時ごろに買い物袋をぶらさげて帰ってくる立香と同じくらいの時間に、彼はどこからともなくふらりと帰宅するのだ。どこに出かけているのか問いただしても、「見回りついでに街を散策してんですよ。別に変なことはしていませんぜ」と、どこかの皇女様みたいな論調ではぐらかされてしまう。
 やっぱりどこかの女性と遊んでいるのかな。わたしのことも遊びなのかな。もしかして、なし崩しにオーケーしてしまったから都合のいい女扱いされている? でもなぁ、変なところで誠実だし、意地悪だけど悪い人じゃないし……。基本的には善良なはずだし……。
 かなりロビンのことが理解できてきたはずなのに、ふとした瞬間に、ボタンのかけ間違いみたいに彼が何を考えているか分からなくなってしまう。そういう時、立香はとてつもなく落ち込んでしまう。まだまだだなぁとか、理解力が足りないなぁとか。ぐるぐるぐだぐだ、思考のデブリが積み重なっていく。

「んあー! もうぜんぜんダメだー! 袋小路に入りこんでるー! 何か、何か気晴らしのできるものギブミー!」
「そんじゃあ郊外にあるイイ感じのカフェに行く、なんてーのはどうよ?」

 顔をあげる。スマホの画面をちらつかせながら、派手な二つ結びが歯を見せて笑っていた。

「相変わらず突然だね、なぎこ。イイ感じのカフェって?」
「最近オープンしたお店で、“Owl's nest(フクロウの巣)”っていうとこ。ほらほら、インフルエンサー『良妻賢母☆コンコン』さんの投稿でプチバズりしてるんよ。なんでも、『顔がいいバイトのお兄さん』がいるらしくってー、若い女の子を中心に、お客が増えてるらしいんだよねー。興味あり寄りのありじゃね?」

 SNSには、“Owl's nest”というカフェの外観と、提供されている紅茶や、ケーキスタンドに上品に飾られた甘いお菓子の写真が数枚ほど投稿されていた。『良妻賢母☆コンコン』さんのコメントによると、「マジやばなカフェの発見です! お店の外観、内装、ともに隠れ家的な雰囲気漂う、シックで、Soぐれ~いとな造り。BGMはレコード盤から流れるジャズ。超(スーパー)センスありまくり! 店長が渋いイケオジで、英国ご出身とのこと。もちろん紅茶はどれも一級品! 「えっやだ、この値段で? 本当に? いいんですか!?」みたいな味ですぅ。ケーキも絶品! あまりにも美味しすぎて、ハートのFox Taleがコン☆コン☆すること間違いなし! そして何より……ここの新人バイトさん。お顔“は”とっても整っていらっしゃいますが、何やら訳アリのご様子。お写真撮ろうと思ったらぁ、猛烈なNGいただいちゃいましたぁ。とーっても悔しいので、お店をさら……こほん。お店のレビューを宣伝して、お客さんをじゃんじゃん呼んじゃうぞ☆ これぞ商売繁盛のお呪い! 店員さんにおかれましては、忙殺されないようお気をつけくださいませー♪ ナイスミドルな英国紳士と、ミステリアスなメカクレお兄さんにお会いしたいお嬢様は、午前九時から午後三時ごろを、みこーんと突撃あるのみです!』

 すごい。テンションの高いコメントに、絵文字やら記号でまんべんなく装飾されているため、頭に情報が入ってこない。ドライアイになりそうな目を押さえながら、立香は「とりあえずいいお店なんだね」と、ざっくり簡潔にまとめた。

「もち行くだろブラザー。皆まで言うな、分かっているさ。あたしちゃんには全部お見通しだからな」
「別にどこのだれだか分からないイケメンに用はないけど、紅茶とお菓子が美味しいのは気になるかな」
「えー、色気より食い気かよー。ま、いいや! おあつらえむきに今日は午前で学校終わるし、電車に乗って五駅先の郊外に出発すんぞー!」

 まだ行くって返事していないのに、すでに行くことになっている。
 ぐいぐい攻めてくる陽の者に、絶賛お悩み中な陰の気をまとった立香は、頬を吊り上げて無理やり笑う以外の選択肢は残されていなかった。

 ※

 電車に揺られること十五分。目的の駅を降りて、徒歩で五分。
 海からも、街の中心からも遠く離れた郊外に、店はひっそりと佇んでいた。片側三車線の大きな道路から脇道に逸れて、古い住宅地の中を進んでいくと、投稿で見た煉瓦造りのカフェが確かに存在していた。数段上がった入り口には、“Owl’s nest”のおしゃれな筆記体で描かれた緑色の看板も立っている。

「ラッキー空いてんじゃん! 最近は時間帯によって行列ができてたし、入れないかもなーって半分諦めモード入ってたんだよね」

 やっぱ『良妻賢母☆コンコン』さんの影響力ぱねぇわ! と、なぎこはスマホで外観の写真を撮りまくっている。

「だからって軒先にある花壇のマリーゴールドまで、被写体にしなくてもいいと思うんですけど……」

 なぎこの背後で困惑の苦笑いを浮かべているのは、別クラスの女子学生、コルデーだ。彼女は下校途中、なぎこに捕まり、「いいからいいから~、なぎこさんを信じて~」と、ここまで訳も分からず連れてこられたのだ。彼女自身、目的地を明かされたのは、ほんの三十秒ほど前の出来事である。

「チッチッチ! 分かってないなー、こるこるぅ。日常を切り取った素朴な一枚。何気ない一コマにこそ、カメラマンの腕が如実にあらわれるんだZE!」
「カメラマンの腕はともかく、想像以上に良いお店です。植えているのはオレンジのマリーゴールドと来ましたか。祖国のDia de los Muertos(死者の日)を思い出します。紅茶の匂いと焼き菓子の匂いも、ほどよく食欲を誘います……ね」

 涼やかさのある甘い声。立香の隣に立つのは、メキシコからやってきた留学生のテノチである。ちなみにフルネームは“テノチティトラン”というのだが、友人たちからは“テノチ”と呼ばれている。
 彼女も下校途中、なぎこに声をかけられた一人だが、なぜか立香と、それからそばにいるコルデーをまじまじと見つめ、「もちろん同行しましょう。抜け駆けは見過ごせませんから……ね」と、謎の言葉を斜め下の地面にむかって呟いていた。あれはいったい、なんだったのだろうか。

「よっしゃ、めっちゃ撮った! さっそく中へ入るぞー、たのもー!」

 スマホを鞄に仕舞ったなぎこが、元気よく店のドアを開ける。カランコロンと上部に取り付けられた小さなベルが、四人の来店を告げた。
 耳に心地よいジャズ。
 できるかぎり光度を絞った照明(ライト)。
 バロック調のカウンターテーブルに、並べられた椅子。
 あちこちに飾られた観葉植物は、瑞々しい葉を茂らせていた。

「いいお店だね」

 知らず、立香はお店の感想を言葉にしていた。言うつもりなどなくとも、本当に良いものを前にしたとき、飾らない心からの賛辞が飛び出すものなのだと、自分自身で驚いた。それほど、このお店の細部───例えばピカピカの調度品や、埃一つ落ちていない床、繊細な紅茶の格調高い香り───に、見えない誰かへの想いみたいなものが感じられたのだ。
 なんて。
 優雅に感じ入ることができたのは、ほんのわずかな間だけだった。

「いらっしゃいませー。四名様です、か……」

 カウンターテーブルの奥、厨房へと続く通路から出てきた人物に、立香はすべての思考を持っていかれた。見事に頭は真っ白。音は消え、ついでに時間も止まった。地球の自転も止まったのでは? と錯覚するほど。まぁ、本当に止まったら大変なことになるから、実際にはそんなことありえないのだけれど。

「ロビン……なんでここに……」

 思考を持っていかれたのは、『ミステリアスなイケメンのアルバイト』も同様だったらしい。立香の姿を認めたあと、明らかに「やっべえ」という顔を、まばたきの半分ほどの時間だけ晒していた。が、さすがというか何というか。彼はすぐに見たこともない営業スマイルに戻った。黒い襟つきシャツに、緑の腰エプロンを巻いたウェイターが、「こちらにご案内します」と、四人をテーブルに誘導した。

「えっ、なになに!? ちゃんりつ、あのウェイターと知り合いだったの!?」
「ま、まさか……おつ、おつきあいされている方だったり!?」
「きちんと納得のいく説明をお願いします、ね!」

 こっちもこっちで友人たちの圧がすごい。店内の一番奥、日差しが当たりすぎない四人掛けテーブルに通されるまでの間、なぎこは小声で騒ぎまくるし、コルデーは謎の青い顔でショックを受けているし、テノチはずいぶん前に明けたはずの梅雨のオーラを纏っていた。

「違う。いや違わないけど、ロビンとはそんなんじゃないと、思うのだけれど……」
「んなわけないじゃーん。嘘が下手だねぇ、ちゃんりつ。無理スンナって」

 椅子に座りながら、なぎこが立香の背中をばっしばし叩いてくる。嘘はついていないけれど、今一つ確信が持てないから解答もあやふやになってしまうだけだ。

「あ、でも本当に触れちゃいけない話題なら、これ以上の詮索はしない方がいいですよね」

 コルデーが最大限の気遣いを見せてくれた。立香は力なく、あははと笑い返した。

「そんなに気をつかわないでも大丈夫だよー。だけど……どうだろうなぁ。わたしの一方通行かもしれないし」

 憂いを帯びた金色の瞳。立香の一言で、「なるほど、脈ありではあるものの、片思いをしている相手の気持ちが分からないパターンのやつか!」と、友人たちは盛大な勘違いをした。その勘違いを正す人物などいるはずもなく。ただ立香達のテーブルから一つ離れた位置に座っている、白いふわふわワンピースを来た白髪の女性が、肩を震わせて女子学生たちの会話に聞き耳を立てるばかりだった。

「ご注文をどうぞ、お嬢さんがた」

 伝票とペンを持ったロビンが注文を聞く。なぎこが元気よく手をあげた。

「はいはーい! アールグレイにレモンスライス二枚。イングリッシュマフィンをイチゴジャムで!」
「じゃあ私はアッサムミルクティーで。ケーキはガトーショコラを一つお願いします」
「……ウバにスコーンを二つ。たっぷりのクリームとチョコソースを添えてちょうだい」

 メニュー表を見ながら、コルデーとテノチもほぼ即決した。立香はメニュー表の影に隠れながら、みんなよくパッと決められるなぁと感心した。

「ほいよー。紅茶は全員違う茶葉だからカップで別々に、と。ケーキは一つのスタンドにまとめて持ってきますぜ。問題ないよな?」
「おっけまる~」
「そちらのお嬢さんはどうします?」

 ロビンが首をかしげて訊ねてきた。
 まっすぐに見つめられ、心臓がバクバクとうるさい。家だとこんなこと、あんまりないのに。お嬢さんなんて久しぶりに呼ばれたから? 友人たちの前だから? あーもう、どうしよう……メニューの文字が理解できない。全部ただの記号の羅列に思えてきた。甘いモノは大好きなはずなのに、胸がいっぱいで喉を通りそうにない。果たして、出されたモノの味が分かるのかも微妙である。

「……じゃあ、『店員さんのおすすめ』で」

 メニュー表越しにロビンを見上げた。彼はなぜか一瞬ぐっと言葉に詰まり、メモを取ることもなくエプロンのポケットに伝票とペンをしまった。

「了解了解。んじゃ、ちょいとお待ちくださいよ」

 何回か咳ばらいをしつつ、店員さんはテーブルを離れた。
 ロビンがいなくなったのを見計らって、立香達の女子トークが再開される。話題はやはり彼に対するものだった。

「ちょっと独特で不思議な敬語だけど、雰囲気いい人じゃん」
「どこが? かなり猫被ってるよ、あれ。普段はもっと意地悪で皮肉屋だし」
「私たちからすれば感じのいいお兄さんでしたが、あれはよそ行きの顔なんですね」

 大人だなーと、コルデーは厨房の方を観察しながら、情報をインプットするように何度もうなずいていた。
 一方で、テノチは湖を渡る軽やかな風のように、かすかな微笑みを浮かべる。

「自宅以上に素で振る舞える場所はない。彼が他人には見せない自分をアナタに見せているのなら、それはつまり、アナタは彼にとって終の住処にも等しい存在と言えるのでしょう」
「ロビンがそう思ってるってこと? んー、そうなのかなぁ」
「今の例えで理解できちゃったんですか!? 立香さん、凄すぎません!?」

 私には何がなにやらさっぱりでした! と、コルデーの視線は、隣に座って優雅に髪を耳にかけるテノチと、向かい側で頬杖をついて考え込む立香を何度も往復していた。なぎこは我関せずで投稿する記事の文章を打ち込んでいる。ものすごい早さのフリック技術だ。
 そんな感じでゆるゆる歓談しながら待つこと十五分。アンティーク調のカフェワゴンを押して、ロビンがテーブルへ戻ってきた。

「お待たせしました」

 それぞれの前に注文した紅茶が置かれていく。ぐるりと小さな野ばらが描かれた白いカップとソーサー。カップの中には鮮やかな紅色。紅茶特有のフラワリーな匂いが、湯気とともに立ち上っていた。ちなみに立香にはアールグレイのストレートティーが置かれている。……家で飲むときと同じ茶葉の種類だ。

「あとはこれだな。ほいよ、どうぞ。クッキーは店長からのサービスですぜ」

 ワゴンから、ドン、と、鳥かごみたいな形状の可愛らしいケーキスタンドが置かれた。三段に分かれた受け皿には、工芸品のごとく綺麗に作られたケーキとマフィン。下段には、アイシングクッキーやジャム付きのクッキーが見事に整列していた。

「すっごく美味しそうですね! やったやったー! 紅茶の香りだけでケーキが何個でもおかわりできそうです!」
「食器もただ華やかなだけでなく、繊細な意匠のもので揃えられてますね。なかなかセンスがよろしいのではないかと」

 コルデーが手を叩いてはしゃぎ、テノチはカップや皿に興味深々だ。一方、なぎこはというと、いつになく真剣な顔をしたまま、シャッターを切る親指を止められないようだった。しかしカメラのレンズをロビンにむけた瞬間、ロビンがなぎこのスマホごと机に伏せてしまった。

「こらこら。人様に無断でカメラを向けるんじゃねえですよ。どうせSNSとやらに載せるつもりっしょ? そのおかげで異常な客の増え方したもんで、しばらく残業続きだったんですよ。店の宣伝なら構わないが、オレのことを書いたり載せたりするのは禁止、な?」
「ちえー。お兄さんカッコいいから、絶対バズるのになー」
「承認欲求にはこれっぽっちも興味ないんでお断りですよ。ま、オレがカッコいいのは認めますがね」

 店の奥から、チンというタイマー音がなった。ロビンが一度引っ込んでいく。数分後、彼は真っ白なお皿を持って、ふたたび現れた。

「お待ち遠さま。いつもあるわけじゃないんで、今日だけの特別ってことで」

 立香の前に皿が置かれる。全員がそれに釘付けになった。

「ワッフルだー!」
「チョコソースにストロベリーソース、ミントが乗ったホイップまで。美味しそうなのはもちろんのこと、盛りつけが可愛らしい!」

 ワイワイ騒ぐなぎことコルデー。テノチは、ワッフルとロビンを交互に見つめて、それからとんでもない小声で、「まあ、及第点です……ね」と呟いていた。

「そんじゃま、あとはごゆっくり」

 形式的な頭の下げ方をしたロビンは、厨房へと姿を消した。

「ちゃんりつ~、あれは絶対脈ありだから、早く告っちゃえよ!」
「大丈夫です。立香さんファンクラブ(非公認)の方々には内緒にしておきますので!」
「何その不穏なクラブ。知らない怖い……」

 自分のファンクラブとか、ある訳ないない。あと告るとか告らないとか、そういうのはすでにすっ飛ばしている関係なんだよなぁと、立香はアールグレイの甘さと渋みを飲み下した。

「風通しよし、日当たりよし、豪雨や耐震などの災害にも強く、文句のつけようもない外観の帰るべき場所、たとえ望んだとしても容易に手に入るものではありません、よ?」

 言外に、「大切にした方がいい」と、テノチが伝えてきた。彼女だけは立香達の関係を察したらしく、「まぁトラマカスキが選んだのなら」と自分に言い聞かせていた。……トラマカスキって何だろう。
 おいしいお茶に、ケーキを添えて。
 女子トークは一時間ほど、しっかり続いた。けれどそろそろ帰らなければ店側の迷惑になると、四人は誰からともなく席を立った。立香が伝票を持って、入り口近くにあるレジへ。待ち構えていたのは背も高く、肩幅も広い、老境に入った男性だった。まとめて会計しておくよと立香は友人たちに伝える。先に店の外へ出てもらってから、立香はおそるおそるレジを打つ威風堂々とした男性に話しかけた。

「あの、店長……マスターさんですか?」
「いかにも。ダン・ブラックモアと申す。よろしく、アーチャーの彼女さん」
「アーチャー!? かっ、彼女!?」

 まさかロビンの正体を知っている!? そしてわたしのことも話している!? と、立香は驚き、ひやりとした汗をかいた。立香のあせった姿を見て、ダンも驚いたようにしわだらけの目を丸く見開いた。

「おや違ったかな? のらくらふわふわとしているあやつが、自分から進んで特別メニューなど作り始めたのを見たのでな。てっきり彼女だと思ったのだよ。間違っていたのなら申し訳ない」
「あ、な、なるほど。そういうことだったんですね」
「それで、本当はどっちなんだね?」
「えっと、たぶん……付き合って、る? のかな?」

 あやふやな返答をした立香に、ダンさんは悲惨なものを見たように目を覆った。

「本当に仕方のない男だ。君の様子を見る限り、はっきり言わずに先へ進んだな?」
「……よく分かりましたね」
「観察からの予測でしかないがね。アーチャーの気質や性格にも原因があるだろうが、もしかすると、そこには国の違い───恋愛に対する感覚の違いが影響しているやもしれんな。イギリスでは、気が付いたら友人から彼女になっていたというパターンが多い。よく映画なんかで、『彼が彼女と呼んでくれるようになった!』という台詞があるだろう? あんな感じで、ある日突然、恋人に昇格しているのだよ。告白という経緯を経てから恋人同士になる日本人とは少し勝手が違うのだよ」

 立香は目からうろこが落ちるようだった。
 日本では一般的に、「付き合ってください」と告白してから恋愛が始まっていく。が、イギリスでは違う。デートを重ね、親密になっていき、ある日突然、関係性が変わっている。一応、ロビンの出身地はイギリスだから……あり得る話かもしれない。

「じゃあやっぱり付き合っている判定なのかな」
「もしも不安ならば問いただせばいい。逃げられないように、きっちり拘束してからな」
「こっ!? ダンさん、意外と押しが強い」
「これでも退役軍人だ。卿(サー)として姑息な真似をする者は好かん。正々堂々、正面から勝負せんかと、アーチャーにも口が酸っぱくするほど伝えておこう」

 ダンさんからお説教されているロビン。想像し、立香は思わず噴き出した。やっと強張っていない笑顔を見て、ダンさんも破顔する。どうやら心配してくれていたようだ。

「そういえば、どうしてロビンのことをアーチャーって呼んでいるんですか?」
「奴にたいする愛称だよ。ダーツの腕が舌を巻くほどでな。よく休憩中に二人で対戦しているんだが、高確率でトリックショット───とりわけロビンフッドを叩き出してくるものだから、勝手にアーチャーと名付けた。名前も同じだし、本人も嫌がっていないようだから構わんだろう」

 ダンさんは悔しそうに、でも嬉しそうにロビンのことを語っていた。
 立香の知らない彼の顔を、ダンさんは知っている。立香はそれが寂しくもあり、でも同じくらい、彼を語ってくれる嬉しさも感じていた。

「お嬢さん、胸に秘めているだけでは届かないこともある。伝えられる時に、ありったけを伝えておきなさい。楽しいことばかりではなく、辛いこともあるかもしれないが。未来を生きる自分が、思い出を切り取った瞬間、おもわず笑顔になることが多くなれるように。……家庭を省みず妻を先に亡くした老人からの、いらぬお節介だ」

 ───ああ、合点がいった。
 この店のいたるところに感じられる暖かい寂寥は、奥さんへの……。
 立香はもう一度、店内をぐるりと眺め、記憶に焼き付けるように目を閉じた。

「ありがとうございます。悩みが全部吹っ飛んじゃいました」
「それは重畳。またの来店を楽しみにしているよ」

 立香は店を出る。
 扉が閉まる間際、ロビンがダンさんに「何話してたんですか」と問う声が聞こえたけれど、立香はスルーすることに決めた。きっと今からロビンは店主に絞られるんだろう。アルバイト業務とは、まったく関係ない事柄で。
 ご愁傷様、と手をあわせる。それと同時に、ひねくれ者な彼には、あんまり効果はないだろうなと笑みをこぼす。
 とりあえず、帰宅したら『尋問』タイムだなーと、立香は大きく伸びをした。
 その瞬間、背後でふたたびドアベルの音がした。

「いやはや、やはり紅茶が美味しいお店は最高だね。しかも本場───英国式ときた。久々に国に帰りたくなったよ。お菓子の味も格別だった。ずっとずーっと、できることなら永遠に、毎日通っていたいくらいだ。そうは思わないかい? マスター」

 きょろきょろとあたりを見回す。が、他に人間はいない。どう考えても、背後にいる真っ白な(本当に全身真っ白。長くふんわりとした髪も、フリルの多いワンピースも、腕に引っかけているハンドバックでさえ、シミ一つない白!)女性の赤い瞳が、立香をまっすぐにとらえていた。
 今、マスターって呼んだよね?
 まさか敵だろうか?
 立香は隙を見せず、剣呑とした固い声で女性に話しかけた。

「お姉さんは?」
「皆の妹、レディ・アヴァロンお姉さんだよ! 長いから、LAさんとでも呼んでくれたまえ。まさかもう一度、君に自己紹介するとは思わなかった。ちょっと面映いものだね」

 あっけらかんと明るく名乗られた。
 妹なのか、姉なのか、はっきりしてほしい。呼ぶときに迷うじゃないかと悩んでいると、立香の難しい表情を察したLAお姉さんが、にっこりと花のように微笑んだ。

「そんなに警戒しなくても大丈夫。私は君の味方だ。正確に表現するならば、ここではない夢(せかい)の君の使い魔だよ。本来なら私がここに来る予定はなかったのだけれど、どうしてもと、この子に頼まれてしまってね。少しばかり無理をおして介入させてもらったよ。ボク個人の信条としては、夢を終わらせてしまうなんて嫌なんだけどね」

 この子、とLAお姉さんは足元に視線を落とす。
 ───小さな白猫がいた。アイスブルーの瞳に、淡い桜色の首輪。長い尾の先に結んだ薄紫色のリボンがご機嫌に揺れている。
 何故だろう。とても懐かしい感じがする。立香はしゃがみこみ、白猫へと手を伸ばした。

「君……どこかで、会ったことがある?」

 猫の目が零れそうなぐらい大きく開いた。ソワソワと落ち着かない様子で、LAお姉さんの足元をうろつき、尻尾を大きく左右に揺らしながら、最終的にお姉さんの後ろに隠れてしまった。

「あっはっは! 想像以上に嬉しかったようだね。伝達機構(この子)のこういう姿を見ることができただけでも、夢(ここ)にやってきた甲斐があるというものだ。っと、あまり悠長にしている時間もないんだった。はいコレ。彼女からの贈り物さ」

 LAお姉さんから渡されたのは、真っ黒なキーホルダーだった。形状は、大きな鎌だ。よく見ると刃と持ち手の先の部分に、茨付きの薔薇の意匠がついている。それ以外は飾り気もない、無骨なデスサイズ型キーホルダーだ。

「よく旅行先のお土産コーナーで見かける類いのキーホルダーだ」
「それを聞いた“彼”の反応が面白そうだ。まあ、私はここで退場せざるを得ないから、見ることが叶わないんだけどね。残念だ、傷ついたイケメンの顔は大好物なんだけど。ああ、本当に───残念だ」

 歪んだ性癖を語る謎の美女は、手にしていたレースの白い日傘をぱっと開いた。

「では確かに届けたよ。然るべき刻に、“彼”に返してあげたまえ。妹さんからだという言葉を忘れずにね」

 にゃぁんと白猫が鳴く。鳴き声が聞こえなくなった時には、LAお姉さんも白猫も、忽然と姿を消していた。

「“彼”って、誰だろう。不思議な人だったなぁ」

 不思議な人から渡された怪しいモノ。だけど、どうしてか捨てる気にはなれなかった。
 本来ならば受け取ってはいけないのだろう。罠だったらと考えると、空恐ろしい物でしかない。
 でも心の底から警戒する気にはなれなかったのだ。悪意がないからだろうか? いいや、違う。LAお姉さんの言葉を信じるとするならば、彼女たちはどこかの世界で、立香を助けてくれていたのだ。
 だとするならば……。
 立香は託されたキーホルダーを、なくさないように握りしめ、立香を待つ友人たちの元へと駆けだした。

 ※

「おかえりなさい。ちょっと話があるんだけど」

「体育館裏に集合ね」という言葉と同列の凄みをもって、立香は親指で、くいっとリビングをさした。
 観念したロビンは帰宅後のルーティンを済ませ、いつも食事時に使う椅子へと腰を落ち着けた。真向いに座った立香が、それでと切り出した。

「いつから働いていたの?」
「……自由に大きさを変えられるようになった次の日からですな」
「早っ! そんなにバイトがしたかったとか?」
「いやいや。オレはオタクのサーヴァントだ。本来ならバイトにうつつを抜かしている場合じゃないことぐらい百も承知なんですがね。ちょいと調査感覚で遠出したときに、あの店の前を通りかかりまして。慣れねえ手つきで花壇の手入れしている老人がいたら……。気になりません?」
「うーん、まあ……気になるね」
「だろ? 休憩がてら花の植え替えを手伝ったのが始まりだ。お礼に茶を飲んでいけと誘われ、うっかり世間話をしたのが運の尽き。出身地も同じ、趣味も射撃にダーツとくれば、話も弾んでしまってな。店を出る頃には、あら不思議。アルバイトで雇われていたっていきさつさ」
「流れるようなスピード雇用。よっぽどダンさんと意気投合しちゃったのか」
「いやあ、参った参った。はっはっはー」

 とはいうものの、おそらくこれは半分ほど誤魔化している。
 ロビンの本心は、おそらく少額でもいいから自由に使えるお金が欲しかったのだ。しかも立香にバレずに、できるかぎり秘密裏に。サーヴァントで、おまけに居候の身。敵が襲ってくれば戦わなければならないが、それ以外の時間は、庭をいじり、家事をこなしながら、立香の帰りを待つばかり。時間を持て余し気味だったのだろう。つまり、彼なりに立香のために何かできないか考えた結果、内緒でアルバイトをし、さらには自分が食べた食費をそっと財布に忍ばせていたのである。
 もう! なんでロビンは!! いっつもこうなのかな!!!
 立香は濁音のついたやり場のない感情を「んー!!」と、思いきり吐露した。ロビンは、「こりゃまずいか?」と爆発しそうな立香の怒りに身構えている。

「はぁ……。うん、そんなことだろうと思ったよ。大丈夫、怒ってないよ、うん。なんとなく行動原理は理解できたから」
「ありゃ? お咎めなし?」

 気持ち首をすくめていたロビンが、すっと、いつもどおりの姿勢に戻る。怒られないために反省の演技をしていたみたいだ。姑息すぎる。

「こんなことのために怒る時間ももったいないし、さぼっているわけじゃないから。でも一つだけ約束して。これ以上の隠し事はなしにしてね?」
「はいはい。分かりましたよーっと」

 立香の忠告めいた嘆願も、けれど、あまり意味はないだろう。彼は必要に迫られたら隠し事をするだろうし、最善策を取ろうと黙ったまま画策し続けるだろう。それは彼の性分であり、そういう風に生きてきたのだから、他人が口出ししたところで変わらない根っこの部分でもある。
 だからこそ、立香は思う。
 ロビンが隠すのならば、表情、言動、行動から、彼の本心を暴いていけばいいのだ。散りばめられている彼の情報を集めて推測し続けていく努力なら立香にも可能だ。ロビンの思考が分からないのであれば、それを上回る理解力で推測し、先回りすればいいだけの話。推測が当たったら優越感に浸れるし、外れたのなら精度を上げるため、彼に関する情報をさらに蒐集していけばいいのである。

「恋って情報戦なのかもしれないなぁ」
「なんか言いました?」
「んーん。なんでもない! さ、今日はロビンのおごりで回らないお寿司を食べに行こうねー。マグロとか食べたいなー」
「ちょ、よりにもよってお高い食事(もの)を……」

 参ったと頬を掻くロビン。立香は、ふふんと鼻を鳴らしながら、リビングを出て、コートを取りに二階へ上がる。外もめっきり寒い木枯らしが吹いている。今年は秋が短く、すぐにでも冬に突入してしまうとテレビの向こう側で予報されていた。

「自称ひねくれ者の恋人を持つと大変だなぁ」

 呟いた言葉に、にやける頬を元に戻すことができず、立香は両手で顔を覆い隠した。
 本心を語ることが少ない彼。でもその行動原理の奥底に自分がいるだなんて。
 いまいち実感できなかったけど、他人から見れば、じゅうぶん特別に扱ってもらっていることが分かっただなんて。
 
「やばい……。どうしよう……。嬉しすぎる……」

 寒さの増す外気温に反して、立香の体温上昇は留まるところを知らない。




テノチー!! オレだ! 永住させてくれ!!笑 機関室でコンポタ飲んでるの笑ってしまいました。優雅だなw
刑部姫と人選めっちゃ悩みましたが、どうしてもテノチを書きたかったのです。ゆるしてくれ、おひいさまー。
 喫茶店のお名前はダン卿のイメージでつけさせていただきました。せとりの中で物静かなフクロウさんなんですよね、ダン卿。寡黙で知的な感じ。コマドリとフクロウ、さらには英語かドイツ語かでも迷いましたが、卿は英国の方なので英語を採用。
 秘めごと部分が、どこを探しても見つからないというコメントが寄せらているはずもないので、その部分はまるっと省略しています。書く予定は……まぁ、時間があればという感じです。せとりさん、R18語彙や表現の引き出しが異常に少ないので、読み手さんが飽きてしまわれるのではないかと思うのです。あと昨今さまざまなエロが溢れていますので僕が書かなくてもいいんじゃないかなこれぇって感じですよく喋るなコイツ恥ずかしがってんじゃねぇぞ。
長編が終わったらおまけであげようかなー。
2024.3.28