サクラファイブ!

・FGO六周年おめでとうございます(遅い!)
・しかもロビぐだ子……じゃない!
・BB+サクラファイブ(三人)の会話文
・誰が喜ぶの? せとりだけだよ!


何でも美味しくモグモグできる方のみ、スクロールお願いします。










「サクラファイブ、集合ーー!」

 BBの明るい声がチャンネル内の部屋に響く。しかしシーンと静寂が流れるだけ。誰一人として召集に応じる者はいない。

「……はぁ。ハッキングして呼びかけているのに、誰一人応答なし。こんなに寂しいことって、他にありますか? こうなれば強制連行です。えいっ!」

 教鞭(支配の錫杖)を一振り。先端がキラリン、と光る。

「いった!」
「きゃっ!」
「あうー!」

 メルトリリス、パッションリップ、キングプロテアの三人が空間転移によって連れてこられた。突然のことだったので受け身を取ることができず、皆それぞれ床に打ち付けられて痛みの声を上げる。

「はい、出勤ご苦労様です。次からはちゃんと自らの意志で来るように! それはそれとして……今日は別宇宙に住む、良い子のせとりさんという方からお手紙が届きました。はい、拍手ー!」

 いきなり本題に入ったわね、と三人は立ち上がりながら嘆息する。ちなみに拍手をしたのはBB本人と、キングプロテアだけ。二人分の拍手が虚しく鳴る。

「手紙にはこうありました。『こんにちは、BBちゃん、サクラファイブの皆さん。私は辺境の地に住む人畜無害な字書きです。今回、FGO六周年ということで自分なりにお祝いしたいのですが、なにぶん私は力不足のクソ雑魚ナメクジ。そこで上級AIにして完全無欠、才色兼備なBBちゃん、どうかお力添えいただけないでしょうか?』。まぁ、なんて持ち上げるのがお上手なんでしょう。あまりにも露骨すぎて、ちょっと気持ち悪くなってきました!」

 ま、全て事実なんですけど、と、BBは手紙を殊更丁寧に小さく折り畳んだ後、火をつけて真っ黒な消し炭にしてしまった。

「こんな時、絵馬なら美麗な一枚絵、漫画馬と小説馬ならギャグからシリアスまで、絶妙に詰め込んだ面白い話で豪勢にお祝いできるでしょう。しかしせとりさんは電子の海の孤島で一人、踊り狂っている弱小htr字書き。お祝いできるようなお話を書くこともできないのです。なんと憐れ! そして、惨め! 他人の力を借りることでしか己の欲を満たせない弱者の典型例!」

 逃げ出そうとし始める三人だったが、全く隙を見せないBB。

「でも好きなもののために頑張ろうと、地面を這いつくばりながら、もがいている様は嫌いじゃありません。むしろ面白いので眺めて楽しんじゃう派です。というワケで、ここは一つ。せとりさんのお願いを聞いてあげてもイイかな? という結論に至ったBBちゃんなのでした☆」

 とりあえず呼ばれた理由は分かった。しかし納得した訳ではない。メルトリリスが口を開いた。

「何で私達がそんなことしなくちゃならないのかしら。手紙を送ってきたソイツ自身が祝えばいいじゃない。それに、サクラファイブと六周年、なんの関係もないでしょう?」
「そうですよ。大体、ここにいるサクラファイブは三人じゃないですか!」
「カズラもヴァイオレットもいないですもんね……」
「仕方ありません。ここはFGOの世界線。FoxTailの世界線とは断絶されているのです。今後繋がることがあるのなら、適宜お二人には、いけに……ゴホン! 出演してもらおうかと思っています」

 今、生け贄って……。
 ああ、それから、とBBは付け加える。

「六周年がわたし達と関係ないと仰いましたが、実は、わたし達と六という数字には、それはもうSE.RA.PHよりも深~い因果関係があるのです」

 意味ありげに深刻な表情で語る上級AI。可愛い。

「な、なんと! ワケあってひた隠しにしていたのですが、サクラファイブには……幻の六人目が存在しているのです!」

 ドン、という効果音がどこからともなく聞こえてくる。一拍の間を置いて、パッションリップからは驚きの絶叫、キングプロテアからは、あまり抑揚のない、へぇーという声が上がった。後者は……多分驚いている。

「ど、どういうことですかー!?」
「あれ? それじゃあ……サクラファイブじゃなくて、サクラシックス?」

 首を傾げるキングプロテアに、神妙な頷きを返すBB。なぜ少し得意げなのだろうか。

「彼女の名前はローズヒップ。可憐な五枚の花弁の外にある、萼としての存在。未確認のアルターエゴ。複合された女神は……」
「四月馬鹿でもないんだから、創造神もつかないような嘘はそこまでにしときなさい」

 メルトリリスの冷ややかなツッコミが飛ぶ。

「嘘だったのですか?」
「はぁい、ウ・ソ・です☆」

 てへぺろ、と舌を出すBB。やはり可愛い。

「でもですね、FGO六周年。せとりさんの手紙にあるように、わたし達も何かお祝いせねば、と思ったのです。何かを楽しむことは体の健康にもつながりますし。そこで、月の女王ことBBちゃん、寝る間も惜しんで考えに考えました(所要時間五分)」

 せとりさんも楽しめて、かつ、お祝いに値する催し物……。三人が固唾を飲む。悪寒が背筋をのぼってきた。
 すっ、とBBが息を吸った。そして──

「第一回! 最初にして最後! チキチキ、『マスターとキスできなければ即退去☆』with サクラファイブ(三人)、を開催したいと思います!」

 と、叫んだ。エコーがかかり余韻が残る。物凄く険しい顔をしたメルトリリスが怒りをあらわに言葉を発した。

「私、帰らせてもらうわ」
「わたしも帰ります!」
「よく分からないけど、二人が帰るならそうしようかな……」
「期待を裏切らない塩対応、ありがとうございます! しかし残念ながら、皆さんには既に、マスターとキスしないと座に退去する呪いをかけてしまいました。大変! ヒロインのピンチです! 助けて~、白馬の王子さま~!」
「これも嘘ですか?」

 キングプロテアの問いに、目を伏せたパッションリップが応える。

「いえ、これは本気だと思います。BBがこれだけハイテンションで語っているのに、冗談でしたー、と肩透かしで終わった事件を、わたし見たことがありません……」
「他に方法はいくらでもあるでしょう!? 何で、よりにもよって、キスなのよ!」

 もっともなメルトの反撃に、BBは、くわっと目を見開いた。

「せっかくの二次創作ですよ!? やりたいことをやらずして、何が二次創作なのですか! あと、六周年なのに揃ったファイブは三人! 計算が合わないのです! 一年に一人実装していれば、既に全員が揃っているはず。何なら水着になっていても、全く違和感はないはず! だというのに、水着になったのは私とメルトだけ。挙句、同じ顔のカーマさんに先を越される始末。何という体たらく! これにはBBちゃんも激おこです!」
「それは仕方ないのでは……。実装を待ってる魅力的なサーヴァントは、まだ沢山いらっしゃいますし……」
「知ったことですか(シャーラップ)! もうここいらでサクラファイブの存在感を、有り難みを、キチンと示さなければ、わたしの気が済みません!」
「こんな場所(サイト裏)で示しても、何も変わらないと思うけど」
「つべこべ言う暇があるなら、マスターの唇の一つや二つや三つや四つ、ちゃちゃっと奪ってきてください! 刻限は日付が変わるまでのたった一日。さあ、サクラファイブ、出動です!」

 最初と最後のセリフが言いたかっただけなのでは!? という三人を強制送還する。BBは、「一仕事やりきった」と、とびきりいい笑顔を浮かべたのだった。



R18にはなりません、せいぜいR15に片足突っ込んだぐらいのお話です。
2021.1.14